45分間ノンストップで続くPOUですら、
ここまで体力を削ることはないだろう。
そんな風にケロヨンは思った。
都内の小さな企業で総員11名が集められた「女子会 第2弾」。
店は「笑笑」。決められたメニューの中から飲み放題・食べ放題という女子会限定プランを利用していた。
住み分けは最初から明確だった。
大きな長テーブルは奥と手前の2つにわかれており、自然と奥ににぎやかな集団が、手前にはやや静かな集団ができていた。
「そっちは
男組だね!」
にぎやかな奥の集団が、手前を指さして言う。
テンションの低さでの判断だろうか。
自分たちは“女子”と呼ぶが男性および男性的なものは“男”と呼ぶ。
決して“男子”とは言わないところに多少の違和感をかんじる。
これは会を通して一貫してこの呼び方であった。
女子は自立した生き物だと感じる。
全てを自主的かつ独断的に決めていく。
オーダー用のタッチパネルを決して手放そうとしないその力強さはまさに
カテナチオ。
時折吹き出すバカ笑いやテーブルを手のひらで激しく叩く音にかき消されぬよう、
「え、えだまめも・・・頼んで・・・」と自己主張できないならば飢えて死んでいくしかない。
弱肉強食を思わせる光景がそこにはあった。
女子はまるで聖徳太子のようだ。
全員同時に会話をし、声がかぶっても特に問題を感じないようだ。
何一つ会話が拾えない自分の聞き取り能力の低さに愕然とする。
この日は特に噂話に花が咲いていた。
男性社員の私的な話、ご家庭の話、昔の恋愛話。会社での態度や
「実はみちゃった!あの社員のこんな瞬間!」
自分のこと以外で秘密など特に存在しないようである。
暴露のクオリティーはバラエティー番組をはるかに凌駕する。
エネルギーあふれる今日の女子は感情表現も豊かだ。
歓声、嬌声、甲高く長い笑い、拍手。「やだー」「かーわーいーいー!」「うっそー」
数十秒おきにテーブルから歓声が上がる。
最も特筆すべきだった瞬間は、オーダーしたメニューが売り切れてしまっていた時のことだろう。
「じゃあかわりに何を出してくれるんですか?」
その女子は若い店員に詰め寄った。
女子会メニューの中に、かわりになるようなものがないんですけど。
困った顔でしばらく考え込んでいた店員は、「メニュー以外のものでも1品お出しいたします」とあきらめたような声で言った。
女子は嬌声をあげた。
切らしているなんて、ルール違反よね。
それくらいのサービス当たり前よね。
勝ち誇った笑いが狭い部屋に響いた。
そしてデザートの時間がやってきた。
ややビールを飲みすぎていたので、「デザートはいらない」と断った。やがてプリンやムースなどが運ばれてくると、突如、
どん、と目の前にチョコがかかったアイスがおかれた。
「食べるでしょ?」
勝手にオーダーを入れたらしい。
その一言に心の防波堤が決壊しそうだったのをどうにか押しとどめた。
ラストオーダーを過ぎ、お開きの時間が過ぎた後もその会は続いた。
5分・・・10分・・・
のろのろと時計の針が進むのを見つめ、ケロヨンは決意した。
逃げよう―
そう決めたら行動は早いほうがいい。
荷物を手早くまとめ、逃げるのかーという声を背に浴びながらケロヨンは夜の街に逃げていった・・・
THE END
もう・・・
本当に・・・
。・゚゚ ’゜(*/□\*) ’゜゚゚・。
圧倒されました・・・
帰りの電車で正気を保つためにアニソン聞きながら漫画読んで
友だちにメールしたりしてました。(かなりキてた)
その後近所のバーで一人飲んでた旦那くんと合流。
すべてをぶちまけながらビールを流し込みました・・・
いちおう言っておきますが、
幼馴染たちとの「女子会」はかなりまったりーでゆったりーです。
いろんな会合があるものです。
どうしてこうなった・・・
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COMMENT
無題
最後まで読んだら、ふと、「魔界」という言葉が頭に浮かびました。
迷い込んだら生還する自信がありません…w
無題
ケロさんが逃げ切る後ろでは、きっとPRIDE OF URAWAが鳴り響いていた事でしょう。
ちなみに「カテナチオ」、腹よじれるほど笑わせて頂きましたwww
きっと
無題
今後二度とお誘いがかからないことを祈っています。
あ、でもこれは“フィクション”なんですよね。まさか現実にこんなことが……(以下略)
>Redinaさま
それを聞いたとき私は「黒ミサ」という言葉が頭に浮かびました(泣)あの夜たしかに魔界への扉が開きかけていました。
>Mr.さま
文字通り、逃げ帰りました・・・
ホント、「こ、これがカテナチオかーっ!」と思いましたよ。あの鉄壁のDF。コーチとして招へいしたいですわ。
>kobee
女子が集まる場を瞬時に凍りつかせるその能力はまさにワールドクラス。
即戦力として次回はおよびいたします。
ぜひぜひ。
>Keyakiさま
なのできっと次回もあるのでしょう・・・
あ、あぁ、そうでした。フィクションでした。すっかり主人公になりきっちゃって・・・おはずかしい・・・
(つд`)グフッ